Coming soon.
母袋俊也は、ドイツ留学中の1986年に複数パネルの連携による絵画形式の着想を得て、以後、絵画表現における「フォーマート(画面の縦横比・サイズ)と精神性」の相関をメインテーマに制作を展開、また理論研究を進めてきました。
複数パネル連携による絵画には、帰国後に東京都立川市に構えたアトリエで制作した〈TA〉(TAchikawa)系とそれと対峙する〈奇数連結〉シリーズがあり、〈TA〉系では、風景をモデルに偶数枚パネルを連結させた横長フォーマートによって、水平で安定的、かつ中心性のない絵画を制作。1999年以降は様々なフォーマートの窓で風景を切り取る視覚装置〈絵画のための見晴らし小屋〉シリーズと絡めることで風景とフォーマートの関係を深めつつ、展開してきました。
一方〈奇数連結〉シリーズは、奇数枚のパネルを連結した非水平で中心性のある絵画群で、1998年に一度完結させた後、2020年から制作を再開しています。
複数パネルの連結以外にも、単体で成立させる縦長フォーマートの〈バーティカル〉シリーズ、正方形フォーマートの〈Qf〉(正方形Quadratを色彩と筆致で充満するfull)系があり、これら4系統をそれぞれ深化、発展させています。
母袋は、絵画における「フォーマートと精神性」を追求すると同時に、絵画とは何か、その役割とは何かも思考しつづけており、絵画とは現実世界(Real)ともう一つの世界(Idea)がわずかに重なる場所に膜状に現れるものであり、そして精神世界の在りようをこちら側に働きかける過程で像を結ぶものだと話します。世界を何も知らない私たちが、世界を見て、触れられるように現れる、示唆に富む存在。母袋俊也はまだ知らない世界を見てみたい、触れてみたいという想いとともに描き続けています。
Photo: Akira Matsumoto
Sorry, no posts matched your criteria.