10/2 – 10/28 笠原 出 ふわりんぼ / トリートメント(リプリーズ)

10/2 – 10/28 笠原 出 ふわりんぼ / トリートメント(リプリーズ)

 ふわふわの不確定状態は、自由であり、また不安である。漂っているうちに、何か大切な答えの手がかりを見つけることもあるし、反対に自分をどこかに見失ってしまうこともあるだろう。
 笠原出のシリーズ「Fluffy Limbo」を見て、ふと「縁」という言葉が思い浮かんだ。仏教用語でいう「縁」は「因」(内的な直接原因)を外から促進させる間接原因である。一切のものは、因縁によって関わりあい、生まれては消えて行く。
 インターネット上の匿名画像たちと、鮮やかな金箔の「スマイル(ゴースト)」のパターンがリンクするこの絵画平面は、移り変わるものと変わらないもの、現世と常世の中間領域であり、外側と内側、現代社会と作家自身が接する膜のようなものだ。
 神仏たち、バラの花、宝石、どくろ、富士。 一見無作為に選ばれたようなモチーフの数々には、笠原がこれまでにインスパイアされてきた民俗学、宗教学的な関心が謎解きのように隠されていて興味深い。これらの作品は、作家の心の遍歴をたどる日記のように読むこともできるだろう。
 「縁」にはまた、ものごとの「ふち」の部分という意味もある。この不確定な境界面が、まるで縁側にたたずんでいる時のような、気楽さや心地良さを感じさせるのは、「ここ」と「どこか」が絶妙なバランスでつながっているからなのかもしれない。

( 東京都写真美術館 学芸員 石田哲朗 )

期間
2014年 10月2日(木) – 10月28日(火) 12:00-19:00 (最終日は-17:00) 終了しました
場所
GALLERY TAGA2