佐野 陽一  錐の谺 (きりのこだま)    4/4–4/27
reservoir (春) /発色現像方式印画/265×339 mm/2018-2019年 © Yoichi SANO

佐野 陽一  錐の谺 (きりのこだま)    4/4–4/27

雪解けの春と陽射しの注ぐ夏−、ピンホールカメラの手法で制作を続ける佐野陽一は、奥日光・山上湖でこのふたつの季節を捉えました。ピンホールの小さな穴から取り込まれた光の谺(こだま)を見、そしてその響きを聴く試み。かつて私小説家も滞在し手記を書いたというその湖畔で記録されたイメージは、私たちに世界を知覚する新たな手がかりを示してくれます。

EnglishFrench日本語

風景と思考  (岡村多佳夫、美術評論家)

「風景と思考」、これは今から四半世紀近く前に佐野陽一が行った展覧会のタイトルである。あまりに直接的ではあるが、つねに真摯に風景と向き合う彼らしさが十分にあらわされている。風景を見(視、観、診)、空気を感じ、思考する。そこからさまざまな世界が浮かび上がる。そしてそれらが繰り返されていくのだ。とはいえ、当然のことのように見(視、観、診)方も感じ方も変わっていく。しかし彼のなかで変わらないものがあり続ける。それは光に対する見(視、観、診)方、感じ方である。この光という抽象的なものは物質によって初めて明らかにされ、具体的になる。彼にとっての物質は水であり、樹々である。そしてそれらを使い時間を可視化する。時間もまた抽象的であるのは言うまでもない。光と時間の可視化。私が彼の作品をある種の概念芸術だと考えるのはそれ故である。もちろんこれは個人的な誤読によって成り立っているのかもしれないが、そのような読みも含めて、それらの作品には作家のさまざまな内的世界が、思考が、多くの言説が渦巻いているのだ。
 今回の展覧会のタイトルが「錐の谺」というのも暗示的である。というのも「こだま」という文字は幾つかあるのに、わざわざ「谺」を使っているのだ。「錐」と「谺(こだま)」のつくりの「牙(きば)」は形状的に似ており、そこでこの漢字を選んだのだろうか、あるいはそのような意図もなくただ選んだのだろうか。これもこちらの勝手な推測でしかないが、このように考えていくと「目眩(めまい)」をおこしてくる。しかしその目眩によって新たな想像力が紡ぎだされていくのだ。いずれにせよ空間が時間化され、時間が空間化される世界の楽しみが佐野の作品にはあるのだ。

期間
2019年 4月4日(木) – 4月27日(土) 12:00-19:00 (最終日は-17:00)
※期間中の水曜・日曜・祝日は休廊いたします。
場所
GALLERY TAGA2
オープニングパーティー
4月4日(木)18:30-20:30 
お問い合わせ
info@gallerytaga2.com  田賀