展覧会

顕神の夢 ―幻視の表現者― 村山槐多、関根正二から現代まで

2023.8.26(土)-2023.10.15(日)

顕神の夢 ―幻視の表現者― 村山槐多、関根正二から現代まで

人知を超えた「何か」の訪れにより得た霊的な体験を、創作のモチベーションとする表現者たちがいます。その「何か」をとらえようと焦がれ、制作に向かう彼らの心情を、本展では仮に「顕神の夢」と名付けてみました。「何か」に憑かれ媒体となって私たちの世界へと繋ぐ行為、「何か」からの干渉を感知し幻視体験を通して得たヴィジョン、また直接感得した神仏のイメージの図像化などから生み出された作品の数々。本展では5 章構成で51名の作品を紹介し、超越的な存在との関わりを基点とする、いわば「霊性の尺度」で見直すことで、その豊かな力の再発見、再認識を試みます。

※会期中、展示替えを行います。
展示替え作業の都合により下記の通り展示期間を変更いたします。
 前期:8月26日(土)-9月10日(日)
 後期:9月12日(火)-10月15日(日)
  ↓
<変更後>
 前期:8月26日(土)-9月18日(月・祝)
 後期:9月19日(火)13時-10月15日(日)
※9月19日(火)10時~13時は展示替え作業のため休館。当日は13時より開館いたします。

出品目録(PDF/294KB)

見どころ

1.見神者たち

得体の知れない、人間を超えた存在。「神」とみなされることもあるその「何か」に見出され、媒介者としての役割を果たす、宗教家、霊媒気質の表現者たちがいます。神懸かりによって「何か」の言葉を自動書記で記した出口なお(1837-1918)、憑依中、わずかな時間で三貴神像を描きあげたという岡本天明(1897-1963)。カンカカリャ(神懸かり)である宮川隆(1955-)の作品には文字とも絵とも判別しがたいものが現れています。

▶出品作家:出口なお、出口王仁三郎、岡本天明、金井南龍、宮川隆、三輪洸旗

  • 出口なお《お筆先》<br />
鎌田東二氏蔵<br />
    出口なお《お筆先》
    鎌田東二氏蔵
  • 金井南龍《妣の国》1969年 <br />
さすら蔵
    金井南龍《妣の国》1969年 
    さすら蔵
  • 宮川隆《無題》1993年<br />
作家蔵
    宮川隆《無題》1993年
    作家蔵

2.幻視の画家たち

「何か」が訪れたとき、表現者たちに幻が顕れます。彼らには尋常ならざる感覚があり、幻視、ときに幻聴として意識されます。宗教的なビジョンもまた制作の重要なモチベーションとなります。萬鐵五郎(1885-1927 )の描いた《かなきり声の風景》は、風景画でありながら、まるで生き物がうごめいているようです。画家の内側から聴こえてくる見えざるものを反映しているのかもしれません。

▶出品作家:村山槐多、関根正二、河野通勢、萬鐵五郎、古賀春江、高橋忠彌、三輪田俊助、芥川麟太郎、内田あぐり、藤山ハン、
      庄司朝美、齋藤隆、八島正明、花沢忍

  • 萬鐵五郎《かなきり声の風景》1918年 <br />
山形美術館寄託<br />
    萬鐵五郎《かなきり声の風景》1918年 
    山形美術館寄託
  • 村山槐多《裸婦》1915-16年<br />
町立久万美術館蔵<br />
    村山槐多《裸婦》1915-16年
    町立久万美術館蔵
  • 齋藤隆《ドラマ(地の巻)》1986年<br />
福島県立美術館蔵【前期展示】<br />
    齋藤隆《ドラマ(地の巻)》1986年
    福島県立美術館蔵【前期展示】

3.内的光を求めて

網膜に映る光ではなく不可視の光、つまり心に浮かんだ霊的光とも言える内的なものを第三者にも「見える」ようにするために、表現者は色彩に変換し、絵画化します。その作品は、超感覚的な「響き」を伴う色彩で描かれます。石塚雅子(1965-)は奏者としての一面も持ち、それは内的な光と無関係ではなく、見えざる「何か」からもたらされた「響き」がその画面に出現しています。一方、横尾龍彦(1928-2015)の画面には内的な光、つまり内にうごめく情動が龍として顕れています。

▶出品作家:横尾龍彦、藤白尊、上田葉介、黒須信雄、橋本倫、石塚雅子

  • 横尾龍彦《龍との闘い》1988年 <br />
鎌田東二氏蔵<br />
    横尾龍彦《龍との闘い》1988年 
    鎌田東二氏蔵
  • 石塚雅子《迦陵頻伽》2014年 <br />
作家蔵<br />
    石塚雅子《迦陵頻伽》2014年 
    作家蔵
  • 黒須信雄《天之眞名井 №24》2005年 <br />
足利市立美術館蔵<br />
    黒須信雄《天之眞名井 №24》2005年 
    足利市立美術館蔵

4.神・仏・魔を描く

直接的に神仏を感得し、絵や彫刻というかたちに留めた表現者たちによって、そのヴィジョンを通した独自の図像が生みだされました。図像には彼らの内面が投影されますが、「何か」は神や仏としてのみならず、魔としても現れました。牧島如鳩(1892-1975)の《魚籃観音像》には魚籃観音を中心に天女やマリア、天使が同画面に描かれており、仏教やキリスト教および神道にも通じていた牧島独自の図像となっています。

▶出品作家:円空、橋本平八、髙島野十郎、藤井達吉、秦テルヲ、長安右衛門、平野杏子、牧島如鳩、佐藤溪、石野守一、真島直子、
      吉原航平、若林奮、黒川弘毅、佐々木誠、三宅一樹

  • 牧島如鳩《魚籃観音像》1952年<br />
公益財団法人足利市民文化財団蔵<br />
    牧島如鳩《魚籃観音像》1952年
    公益財団法人足利市民文化財団蔵
  • 長安右衛門《装飾文様(懊悩)》1927年 <br />
東京藝術大学蔵<br />
    長安右衛門《装飾文様(懊悩)》1927年 
    東京藝術大学蔵
  • 三宅一樹《スサノオ》2014年 作家蔵 <br />
photo: Satoshi Nagare<br />
    三宅一樹《スサノオ》2014年 作家蔵 
    photo: Satoshi Nagare

5.越境者たち

こちら側と向こう側、三次元の世界と異次元の世界。その境を越え、常人とは異なる視点からこの世界を眺める者たち。彼らにはこちら側はなじみがたい場所であり、ときとして幻視や幻聴に襲われます。向こう側と通じることで、バランスを保つのです。中園孔二(1989-2015)は己が留まる世界に違和感を抱き、孤独の中に現れ、迫ってくる幻覚を描いています。

▶出品作家:宮沢賢治、草間彌生、岡本太郎、横尾忠則、馬場まり子、赤木仁、舟越直木、中園孔二、OJUN

  • 岡本太郎《千手》1965年 <br />
川崎市岡本太郎美術館蔵<br />
    岡本太郎《千手》1965年 
    川崎市岡本太郎美術館蔵
  • 横尾忠則《水のある赤い風景》1996年 <br />
作家蔵(横尾忠則現代美術館寄託)<br />
    横尾忠則《水のある赤い風景》1996年 
    作家蔵(横尾忠則現代美術館寄託)
  • O JUN《XMAZ》2013年 作家蔵<br />
撮影:宮島径 ©O JUN Courtesy of Mizuma Art Gallery<br />
    O JUN《XMAZ》2013年 作家蔵
    撮影:宮島径 ©O JUN Courtesy of Mizuma Art Gallery

基本情報

会期
2023.8.26(土)-10.15(日)
会場
久留米市美術館
入館料
個人 団体
一般 1,000円 800円
シニア 700円 500円
大学生 500円 300円
高校生以下 無料 無料
前売り (Pコード686-435/Lコード86704) 700円
*身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳又は療育手帳等の交付を受けている方とその介護者1名は、無料。
*団体料金は15名以上、シニアは65歳以上。
*前売券はチケットぴあ、ローソン各店にて会期1ヶ月前より販売。
*上記料金にて石橋正二郎記念館もご覧いただけます。
*メンバーシップ「みゅ〜ず」の会員の方は、こちらをご覧ください。
主催
久留米市美術館、読売新聞社、テレQ、顕神の夢展実行委員会
後援
久留米市教育委員会
助成
一般財団法人地域創造
監修
鎌田東二(京都大学名誉教授)
スペシャルパートナー
株式会社ブリヂストン
オフィシャルパートナー
学校法人久留米大学、株式会社筑邦銀行、株式会社森光商店、喜多村石油株式会社、株式会社ユー・エス・イー

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