
祖師谷 FOLIO 3 / 5 – 3 / 30
版画工房イタヅ・リトグラフィック (Itazu Litho-Grafik) の板津 悟氏が、5人の作家と共同制作した版画集「祖師谷フォリオ」を展覧いたします。作家は、菊池絵子、千葉鉄也、西島直紀、松原奈々、David Nixonで、ギャラリー2階には各作家の日頃制作している作品とリトグラフの試刷りもランダムに展示。作家とプリンターが対話しながら刷り上げたオリジナル・リトグラフをどうぞご高覧下さい。
展覧会について (岡村多佳夫 美術評論家)
大学の授業で、板津さんに何度か話をしていただいたことがある。その時は技術的なことだけではなく、彼が刷りたいと思って選んだ作家のことや、作家とのやり取りなど様々なことが話題に上ったが、版から紙を取り上げるときの最初の鑑賞者としての刷り師の特権について羨ましく聞いたことが思い出される。
版画は焼き物やガラスなどと同様、作家が手出しできないところがある。もし絵画のように立ち上がりから完成まで関わり、ある程度満足する結果を得ようとするならば、画家ジョアン・ミロのように版画の技術を習得する必要があるだろう。ちなみにミロは版画の世界ではオフィシアル(職人)としての立場にあったが、これはスペインの版画工房のシステムとしてのマエストロ(師匠)の下にあり、徒弟の上に位置する。なぜ彼がわざわざ職人として刷りを行ったかといえば、色彩を含めて自らの考えをよりよく表出したいと考えていたからである。
さて、板津さんはこれまで何人かの作家を選びいくつかの版画集を作ってきた。今回も5人の作家が選ばれている。それぞれの表現者の特徴を出しつつ、どのようにまとめ、処理しているか、板津マジックが楽しみである。
Itazu Litho-Grafik/イタヅ・リトグラフィック とは:
リトグラフのプリンター養成工房、タマリンド石版画研究所 (アメリカ) で修行を積んだ板津 悟氏が、1987年に設立した作家とのコラボレーションを基本とするオリジナル・リトグラフ版画工房。国内外の作家たちと数多くの作品を制作しながらリトグラフが持つ表現の可能性を探っている。
作家紹介:
主に絵画作品を制作。「自分が現在居るのとは別の場所、について豊かに想像することのできる(はずの)私たちの能力と、それを使った旅について考えています。」
「リトグラフによる作品制作は初めての経験である。アルミ板にダーマトグラフで描画したが、事前に伺っていた通り、一度描画したものは基本的には消せない。これまでにも様々な技法は経験して来たが、私はいつでも描く・消す・描く…の繰り返しで制作してきた為、リトグラフによる作品制作は大変難しいものであった。これは技法上の問題に留まらず、何か作品制作プロセスにおいて一種の決断を迫られている様な…そんな気がした。」
湖畔や山荘、森、庭や水の流れる風景を油彩で描く。昨年、石版石で水面にある石を描きリトグラフを制作する。2013年「第十回東京MAC(幕の内)西島直紀・O JUN」 入善町下山芸術の森発電所美術館(富山)にて展示。
クイーンズランド州の助成金を得て、2014年11月に来日し1カ月間イタヅ・リトグラフィックに滞在しリトグラフを制作した。
- 期間
- 2015年 3月5日(木) – 3月30日(月) 12:00-19:00 (最終日は-17:00) 終了しました
※期間中の水曜・日曜・祝日は休廊いたします。 - 場所
- GALLERY TAGA2
- オープニングパーティー
- 3月5日(木)18:00-20:00
- お問い合わせ
- info@gallerytaga2.com 田賀