3/6 – 4/1 松本 三和 あした、物語を

3/6 – 4/1 松本 三和 あした、物語を

 何を見ているのか。あるいは何を見ていないのか。
 ピカソは若い時、写真を使って自分が見ているものと見ていないものを確認し、なぜその線や形態を選びとったかを考えていった。もちろん、描いているときは無意識的ではあるだろうが、そこに持って生まれたこの表現者の眼が存在しているのは確かである。
 松本三和もまた独特の眼を持っている。日常の何気ない光景や自然に向けられる彼女の視線は瞬時に対象の本質的なものを読み取り、自分に見えたものだけを抽出する。と共に、向こう側にある何ものかと、それらを取り巻く物質としての空気が表明される。おそらくそれはシュルレアリストのロベルト・マッタが言う「眩暈(めまい)」が彼女の中で生み出され、それが観る者を引きこむ力となっているのだろう。
 それにしても、2年ほど前の松本三和の展覧会のタイトルは、「夜を見る」だった。そして今回は「あした、物語を」。
この二年間、彼女は何を見、何を語ろうとしているのだろうか。
 物語はいたるところに偏在している。とはいえ、それを物語たらしめるのは言葉でしかない。しかしながら、イメージを言語化するもどかしさといら立ちがある。そのようにしながら物語は成立していく。いずれにせよ、私たちはここで、作家のイメージと言語のやり取りに加わる喜びを味わうことができるのだ。 

(美術評論家 岡村多佳夫)

期間
2014年 3月6日(木) – 4月1日(火) 12:00-19:00 (最終日は-17:00) 終了しました
場所
GALLERY TAGA2