清水 美三子  透明の深度Ⅱ    10/4–10/29
glassⅨ/リトグラフ /720×520(image)mm/2018年/© Misako SHIMIZU

清水 美三子  透明の深度Ⅱ    10/4–10/29

淡い青の濃淡で描かれる、光に満ちた世界。清水美三子は身近にある自然をモチーフに、筆致を重ね、細部まで繊細に表し、静寂だが力強い画面をつくりあげます。こうして透明度を深めた作品は私たちの意識を解き放たせます。リトグラフ作品を中心にドローイング作品も展示いたします。ぜひご高覧ください。

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展覧会について ( 岸本紗和子 女子美術大学美術館学芸員)

 清水美三子は、自身の作品について「自分の中の自然観の表現」だと語る。「自然観」といった時、都市を遠く離れた雄大な大地で得られる価値観をイメージすることは、ある意味で当然かもしれない。しかし、ここで彼女が使うその意味は、もっとささやかで身近な感覚のことである。たとえば都会の中の手のひらに収まるような小さな植物、ともすれば簡単に見逃してしまいそうな、その微かな青い匂い、水気を含んだ柔らかな手触り、そんな身近な「生」から得られるそれのことである。
 彼女の近年の作品に多く描かれているモチーフは、水の入ったグラスに何気なく挿された葉のある植物である。青色の濃淡とハイライトで描かれた植物と透明のグラス、その中で光を反射する水は、軽やかで瑞々しく美しい。また、スピード感のある筆致が、画面のなかで淡い青色から深く濃い青色へ、滲みや擦れをつくりながら、しなやかに変化していく様子は見る者に心地よさを与える。
 彼女は、下書きや本画のためのドローイングをほとんどしないと言うが、リトグラフの版の上で生まれる水分の加減による様々な現象は、コントロールできないということ、それ自体に美しさと豊かさを秘めているように思う。
 ここには、彼女が幼い時に親しんだ書画の影響があるという。改めて自らの原点に立ち戻ったとき、彼女はそれまで外側にあった自然を、自分の内側にも見いだしたのだ。自分の内側に在るコントロールすることのできない豊かさと、人間の力が及ばない自然を重ねあわせたとき、描かれているテーブルの上の小さな世界のその向こう側には、東洋的な美や、宇宙観が無限に広がりはじめた。そしてその「自然観」、「宇宙観」をあえて日常に落とし込むことで、見る者はグラスの中でゆらぎ、一瞬の光にきらめく水が、私たちのなかにも存在するということを改めて認識するだろう。
 彼女の作品にあふれる生命力、瑞々しさは、「自然」、そして「生」に対して向けられた、眼差しそのものなのだと思う。

期間
2018年 10月4日(木) – 10月29日(月) 12:00-19:00 (最終日は-17:00)
※期間中の水曜・日曜・祝日は休廊いたします。
場所
GALLERY TAGA2
オープニングパーティー
10月4日(木)18:30-20:30
お問い合わせ
info@gallerytaga2.com  田賀