Tetsuji SETA (Galerie Grand E’terna à Paris 9/1–10/12)

Tetsuji SETA (Galerie Grand E’terna à Paris 9/1–10/12)

フランス・パリ8区にあるGalerie Grand E’ternaと共同開催する企画展。4回目となる今年は瀬田哲司展を開催いたします。瀬田哲司は2006年からアートメダルの制作を始めました。そもそもアートメダルとは、ヨーロッパを中心に古い歴史を持つアートの一分野ですが、近年ではテーマや技法などを発展させたコンテンポラリーアートメダルが注目されています。瀬田哲司のメダルは、小さきものへの視点や自然と文化間の緊張、そして日々の瞬間が凝縮された世界観と、また超絶技巧ともいえる精緻な技術から作られています。2017年にはオランダのTeylers Museumが選ぶ第2回Jaap van der Veen / Teylers Museum Prizeを受賞しました。瀬田哲司のコンテンポラリーアートメダル展、手のひらに収まる小さなアートをどうぞご高覧ください。

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愛しき美 Art Medals by Tetsuji Seta (テイラーズ美術館メダル部門学芸員 Jan Pelsdonk)

一般的にメダルはコインのような支払い価値を持っていない。それらは戦争や結婚式のような出来事や人物を記念するために用いられてきた。かつて、メダルはコインと同様の形態であったが19世紀の終わりアールヌーボーの影響下で変貌し、芸術表現になった。それでも小さく繊細で手のひらサイズのオブジェであることは変わっていない。アートメダルの発展は、日本のアーティスト瀬田哲司(1960〜)の作品でよくわかる。瀬田のメダルは、メダルアートの最先端である。それらはもう閉じられた丸いオブジェクトではなく、軽く開放的でそして立体的である。

彼は最初に蟻のメダルを創った。おそらくメタファーだろう。蟻は永久に同じ行為を繰り返しているが、それは人間にも言えることではないか?このメダルは英国美術メダル協会のために2006年に造られたもので、ビッグ・ヒットであり、瀬田の名前は大きく知られるようになった。それ以来、瀬田は金属を使った日記的表現を続けている、ときにはブロンズで、ときには銀で。そして彼は何が特別な出来事なのかを考えている。結婚式、賞へのノミネート、それとも金魚の死?彼は人生と自然の営み(主に彼の庭で繰り広げられる)の両方の出来事を結びつける 。一見それらは関係ないように思えるが、彼のメダルのなかで調和してより深い意味が生まれる。

瀬田の仕事のよい例は2011年制作のメダルである。彼は第一回Jaap van der Veen/Teylers Museum Prize for the Contemporary Art Medalの5人のノミネート作家の1人であった。審査員の一人として私は審査の決定をすべての参加者に知らせなければならなかった。結局、瀬田は選ばれず、私のEメールによってその知らせを受け取った。このとき、瀬田は、彼の庭の金魚の死とEメールを受け取ったことを結びつけたメダルを創った。これら2つの出来事は偶然の一致だろうか? たぶんそうだろうが、そのとき以来私はかわいそうな金魚を殺した罪をずっと感じている。幸運にも、2017年に彼は再びノミネートされて、この名誉ある賞を勝ち取った。この賞はこれまでの優れた仕事と今後の活躍が期待される中堅キャリアの作家を表彰することを目的としている。

瀬田の仕事は、金属を使った日記的表現だけではない。いくつかのメダルはテーマで結びつけられる。例えば、1つ目のメダルでは緑色の芋虫が葉を食べ、2つ目のメダルではカマキリが緑色の芋虫を食べるといったような。彼は幾つかのシリーズを制作する。『Seasons in my garden』、『short poems』(短歌や俳句などの日本固有の詩)、『finger size medals』(植物のディテールを再現した美)、『greeting medals』(他のアーティストと交換したりコレクターに販売する)など。瀬田は言う、「宇宙は、2つの面を持つメダルのようにパラレルである。私は宇宙が単一ではなく複数であることに気づいた。それは2つの面を持つメダルと同じである。私達はメダルの両面を同時に見ることができない。私達はそれを見るために回転させる必要がある。そのため私達はそれが連続しているかのように錯覚するのである。」

瀬田は異なる要素の形を組み合わせる。例えば、円や長方形と彼が自然から拾ってきた小さな形を。メダルは薄く仕上げられ、自然は実物大で詳細に再現される。瀬田はメダルを自分自身で鋳造するが、プロセスの詳細は彼だけが知っている。彼はワックスモデルを作成し石膏で覆う、そしてそれをワックスが溶けて外に流れるまで熱す。残った石膏は融かした金属を流し込む型として使われる。金属が冷却した後、石膏は取り除かれてメダルが残る。最後に磨いて完成する。瀬田は毎日のように新しいメダルを創りたいと思っているが、仕上げに時間がかかるのが難点である。彼のメダルは”主題”と”仕上げ”が相まることで、素晴らしく美しい。

瀬田は1960年名古屋市に生まれ、1986年東京藝術大学を卒業した。現在は、名古屋芸術大学の准教授である。彼は鋳造技術の専門家であり、国際的に有名なアーティストでもある。彼はこれまで写真や絵画などのシリーズも制作してきたが、メダルアートには2006年に出会った。そしてそれから数年後の2012年、 FIDEM(国際美術連盟)のグランプリを受賞する。自然は彼にとって重要な要素である。瀬田は言う。「自然はどこにでもあり普遍的である。そして自然は私にすばらしい美を示してくれる。美、それはそこにあるものである。」

※テイラーズ美術館:1784年に開館したハーレムにあるオランダで最も古い美術館。様々な化石や鉱物、科学的器具、そしてミケランジェロのドローイングなどの美術作品が公開されており、瀬田哲司の作品もコレクションされている。www.teylersmuseum.nl

A green caterpillar eats leafs  かんなづき  October 2014  A mantis eats a green caterpillars  ヤブガラシ     Cayratia japonica/125 x 93 x 34h mm/シルバー950/© Tetsuji SETA

A green caterpillar eats leafs かんなづき October 2014 A mantis eats a green caterpillars ヤブガラシ Cayratia japonica/125 x 93 x 34h mm/シルバー950/© Tetsuji SETA

July 8, 2017 I'm in The Museum Beelden aan Zee Den Haag The Netherlands July 30, 2017 I'm at home in Japan/シルバー950/117×109×33h mm/2017年/© Tetsuji SETA

July 8, 2017 I’m in The Museum Beelden aan Zee Den Haag The Netherlands July 30, 2017 I’m at home in Japan/シルバー950/117×109×33h mm/© Tetsuji SETA

They repeat one's act forever/ベリー銅/86×86×26h mm/2006年/© Tetsuji SETA

They repeat one’s act forever/ベリー銅/86×86×26h mm/2006年/© Tetsuji SETA

期間
2018年 9月1日(金) – 10月12日(金) 11:00-13:00, 14:00-19:00 終了しました
※9月16日(月)~9月23日(土)は展示お休み
※期間中の日曜日は休廊
場所
Galerie Grand E’terna
3 Rue de Miromesnil 75008 Paris
オープニングパーティー
9月6日(木)18:30-21:00
お問い合わせ
info@gallerytaga2.com  田賀