奥山直人展 —UNDERCURRENT—   3/29–4/23
Blood #512/カーボランダム、ドライポイント、雁皮刷り/560×700mm/モノタイプ/2017年/© Naoto OKUYAMA

奥山直人展 —UNDERCURRENT—   3/29–4/23

あらゆる事象の根底で行き交い、突き動かしつづける力。その見えざる流れ、さまざまに変容する流れの一瞬を切り取るように掬いあげる奥山の描線やかたちは、静かに佇みつつ、有機的で、根源的なエネルギーを感じさせます。カーボランダム技法によって生まれる物質感と、豊かなインクの表情、そして版画ながら1枚しか刷れない手法で制作を続ける奥山の新作版画約15点を展示いたします。どうぞご高覧ください。

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展覧会について ( 岡村多佳夫 美術評論家 )

 新しい技法が生まれたと知った時、表現者が興味を持つのは当然であろう。そして、それが自らの考えていることを広げてくれると思われたならばなおさらである。カーボランダムの考案者アンリ・ゲッツが1969年にマーグから出版した『カーボランダムによる版画』では、ジョアン・ミロが後書きを寄せているが、それ以前にもアントニ・クラーベやアントニ・タピエスら、ミロと同様、バルセロナ出身の作家たちがカーボランダムによる表現を行っている。彼らがこの新しい技法をすぐに試みた理由はさまざまにあるだろうが、ほぼ共通しているのは、当時のスペインの状況とそれに向かい合う彼らの心情、すなわち抑圧された中で、沈潜していく恐れと不安と怒りを解放したい、あるいはそれらから解放されたいという彼らの感情の表出に、それが相応しいものの一つと考えたからだ。
 内的世界、内奥深くに潜むさまざまな宇宙、エネルギー、それらを彼らはカーボランダムに出会ったことにより、より強固にあらわすことができたのである。
 奥山直人もまたカーボランダムで表現し続けているが、それは彼らと同様に、自らの存在と精神のありようについて、あるいは肉体と意識の関係について、そして意識を生み出す時空について思索し、表出するには格好な方法であったからであろう。彼の作品が私たちに強く語りかけてくる理由の一つは、そこに思考と技法が寄り添いながら立ち現れているからに違いない。

 ビル・エヴァンスとジム・ホールの名盤「Undercurrent」を聞きながら

期間
2018年 3月29日(木) – 4月23日(月) 12:00-19:00 (最終日は-17:00) 終了しました
※期間中の水曜・日曜・祝日は休廊いたします。
場所
GALLERY TAGA2
オープニングパーティー
3月29日(木)18:30-20:30
お問い合わせ
info@gallerytaga2.com  田賀