三輪  洸旗  チューリップ   −景観−   7/5–7/30
《黄のチューリップ》《赤のチューリップ》《白のチューリップ》、平面作品5点(「群馬の美術 2017 -地域社会における現代美術の居場所」展会場風景/撮影:木暮伸也 写真提供:群馬県立近代美術館)

三輪 洸旗  チューリップ −景観−   7/5–7/30

三輪洸旗(みわ こうき)のチューリップは2015年の前回個展で登場し、その後少しずつ形を変えながら継続してつくられてきました。最近では、三輪の制作において重要な「欠落と余白」を表すものとしてよりその姿を現しています。本展はこのチューリップと、風景をモチーフに描いた 20 点程の平面作品で構成されます。三輪が東京と群馬を往復する中で見た「永遠なる今を更新していく」風景が水平な広がりをみせ、垂直に立つチューリップと呼応します。ぜひご高覧くださいませ。

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「景色」の内と外 — 三輪洸旗の平面作品について 
(伊藤佳之・福沢一郎記念館<世田谷>非常勤嘱託、学芸員)

三輪洸旗がここ数年取り組んでいる、一辺14cmほどのちいさな画面に、私などは容易く引き寄せられてしまう。これらの平面作品について、作家はいずれも「景色」に由来するという。
高速道路で車を走らせ、移り住んだ町を歩き、画廊と最寄駅を往復し、少しばかり遠くへ旅をする…そんな日常のなかで作家が目にした「景色」。そこには地元群馬の山々と思しきものが見えたり、カーブを描く海岸線のようなかたちがあらわれたりもする。ただ、それらはあるがままの外界ではなく、さりとて人の内側に渦巻く主観的な幻想でもない。どちらからも一定の距離をおいた場所。作家の立ち位置はそんなところにあるのだろう。

三輪の制作と展示は、かたちの簡略化や置き換えによって、そこに有るモノの内包する意味や、そこから立ち現れるイメージをかすかにずらすことに主眼が置かれてきたように思える。そこに生まれた「ずれ」は、言い換えれば五感で知り得る世界と、その向こう側にある未知なる世界との境界にできたちいさな裂け目のようなものだ。見えそうで見えない彼方に向って、私たちは必死に目を凝らし、何かしらを探ろうとする。そこに作家の意図があるとするなら、やはり境界こそが彼の居場所であり、制作の重心なのではないか。
「景色」の内と外との境界を慎重に歩みながら、筆をちいさな合板パネルの上にすべらせ、細密な加工を施す。そうしてつくられた平面作品は、それ自体が世界を隔てる膜であり、向こう側に続くわずかな裂け目が、何処かに必ず準備されているはずだ。

そんな妄想を楽しみながら、もやもやと作品を眺めてみる。画面と自分とのあいだに幾つかの附合がありそうだと気づく。パチンと見事に収まるのではない。丁度ジグソーパズルの最初のひと組が嵌るとか、街角で聞こえてくる他人の会話がふと腑に落ちるとか、そういう類のささやかな附合というほうが適当だろうか。
芸術表現に感じ入るということは、そんな附合の集積であるように、私などは思う。激情や衝撃に揺さぶられなくとも、人はささやかに生き、何かしらを表現する。その純度を上げ形を成してあらわされるのが芸術だとするなら、三輪の制作はまことに地道に、確かに歩みをすすめているといえるだろう。
そして、いま私が感じる作品とのささやかな附合は、私の中にひっそりと在る、まだ見ぬ「内」へと続く裂け目との重なりなのかもしれない。

期間
2018年 7月5日(木) – 7月30日(月) 12:00-19:00 (最終日は-17:00)終了しました
※期間中の水曜・日曜・祝日は休廊いたします。
場所
GALLERY TAGA2
オープニングパーティー
7月7日(土)18:30-20:30
お問い合わせ
info@gallerytaga2.com  田賀