木下 恵介  線と写生-3 ( 5/12– 6/6 )
「4つの静物」エッチング 150x150mm 2016年 © Keisuke KINOSHITA

木下 恵介  線と写生-3 ( 5/12– 6/6 )

2014年にGALLERY TAGA 2で、2015年秋にはパリのGalerie Grand E’ternaにて開催した木下恵介展。
今回は過去2回の展示と同じ多摩川周辺の風景を取り上げつつ、ただし写真を用いずにその風景の中で直接描くことにこだわったドローイング作品を展示します。複数の絵を繋げた横長の画面にあらわれる、連続する風景をご覧ください。
またギャラリー1階には銅版画で制作した静物や風景などの小品も展示。皆様のお越しをお待ちしております。

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展覧会について ( CCGA現代グラフィックアートセンター 木戸英行 )

木下の発表は前回につづいて風景が主題である。前回の版画は、図と地の区別が判然としない、遠近感が惑わされるような抽象的な風景描写が印象的だった。対して今回はドローイング、しかも保守的と言ってよいくらい普通の風景画である。彼の仕事を長年見つづけてきた人なら知っていることだが、木下はこれまで数年ごとにがらりと作風を変えてきた。特定の理論なり様式なりを長い時間をかけて追求するのが一般的に芸術家の美徳とされているから、木下のように毎回作風を変えられると、われわれは面食らうほかない。こうなると木下の仕事のなかで変わらないものは何かを探りたくなるのが人情というものだ。哲学者モリス・ワイツは論文「美学における理論の役割」(1956)で、芸術の定義という問いを破棄し、芸術を開かれた概念として捉え直すことを主張したが、どんな芸術家も、意識するしないにかかわらず、制作にさいしてなんらかの立場、すなわち自らにとっての芸術の定義を選びとっているのもまた事実である。私は、木下の場合、カントの『判断力批判』に出てくる「無関心的な快」という美の定義がそれに近いのではないかと考えている。美しい物は、いかなる欲求、知識、関心もなしに見る者を直接喜ばせる。これは目の前にある物の外見への反応として生じる快であって、われわれの理性や悟性に基づくのではない。そうではなく、理性や悟性に基づく評決的判断――たとえば、理論やコンセプト――からの自由という感覚なのである。これまでの木下の作風の変遷のなかで変わらなかったものがあるとすれば、それはこの無関心的な快がもたらす自由の感覚であるように思えてならない。作風を変えたのは、単に飽きただけ、と彼は言うだろうが。

期間
2016年 5月12日(木) – 6月6日(月) 12:00-19:00 (最終日は-17:00) 終了しました
※期間中の水曜・日曜・祝日は休廊いたします。
場所
GALLERY TAGA2 (小田急小田原線「祖師ヶ谷大蔵駅」徒歩5分)
オープニングパーティー
5月12日(木) 18:30-20:30
お問い合わせ
info@gallerytaga2.com  田賀